初めまして。
よく買収後に「聞いてない負債」が見つかったという話を聞きます。
M&A案件のなかで、そういうこともあるんだろうとは想像できますが、双方アドバイザーをつけたうえで、実際にそういうことがあり、支払いをすでに済ませてしまっている場合、どのような流れ(保証?など)になるんでしょうか?
ダチョウ倶楽部様
初めまして。アドバイザーで公認会計士の山邊と申します。
聞いていない負債の話は、仰る通り大なり小なりのトラブルの原因となる事由です。
基本的には、一般生活の中で商品を買うのと同じく、売買ですので大前提として売り手と買い手の当事者の問題となります。
その中で、損害を被った買い手側が、売り手に騙されたのか、あるいは買い手側のアドバイザーの不注意だったのかによって責任は変わってくることになります。
①売り手が嘘をついていた場合 → 契約の表明保証(嘘をついていません)という内容に違反するので、補償を売り手に求めることになります(譲渡契約書にそのような内容を適切に入れておくことが重要となります)。
②買い手アドバイザーが怠けていた場合 → 買い手に「簿外の負債などを発見するために適切に見つけて欲しい」と依頼したにもかかわらず、その買い手のアドバイザーがさぼっていて、発見できなかった場合には、買い手に落ち度があるので、損害賠償請求などが可能かと思われます。但し、買い手アドバイザーがさぼっていたことを立証する責任は、買い手にありますので、結構大変な仕事になる可能性があります。
なお、①のようなケースに備えて、譲渡代金の一部の支払いを、譲渡後数ヶ月後にしておいて、実際に簿外の債務(聞いていない債務)などがないことを確認した上で支払うことも実務上は稀にあります。つまり、譲渡代金を全額先に払ってしまってから簿外債務などが出てきた場合に、後から売り手にその代金の一部を返金してもらうことは難しいため、このような手段を取ったりします。
一方で、売り手側からすると、そのような条件を言ってくる買い手には事業を売りたくないため、代金の一部後払いの交渉は難しいケースが多いです。
結局のところ、他社を買いたいのであれば、納得できる調査(デューデリジェンスといいます)を適切に行ってからすっきり買うのが重要と考えられます。適切なプロにデューデリジェンスをお願いすれば、聞いていない負債の発生をかなりの程度で減らせるものと考えられます。
山邊様
早々にご回答いただいていたにもかかわらず、お礼のご連絡が遅れて大変申し訳ありません。
回答有り難うございます。
①についてはイメージできます。
稀なケースとはいえ、譲渡代金の一部を数カ月後に支払う場合もあるのですね。
なるほど。
②についてはあまり考えておりませんでしたが、言われてみると「なるほど」と思いました。
「買い手アドバイザーがさぼっていたことを立証する責任は、買い手にありますので、結構大変な仕事になる可能性があります。」
これについても頭に入れておきます。
実行が決まった際にはやはりプロに頼むべきことだとよく理解しました。
私のこうしたシロート質問にも親切丁寧に詳しくご回答いただき本当にありがとうございました。