会社を譲渡するという情報は一つ間違えばあなたの会社の信用不安に繋がる話です。よって、M&Aという取り組みを考える時に秘密保持契約の締結というのは全ての契約につきまとう話となります。
通常、税理士などの士業や、金融機関などは、敢えて秘密保持契約を締結せずとも当然に秘密保持義務を負っています。
しかし、このM&Aという業務においては、その通常の秘密保持から更に段階を上げて、より厳密に情報管理を取扱うのがこの業界では一般的である。
では、その秘密保持契約をいつ締結するのか?というご質問に対してご回答しよう。
あなたが売り手経営者であれば、最初にアドバイザーと秘密保持契約を締結するタイミングは売りのアドバイザリーを締結するタイミングとなる。すわなち、売りのアドバイザリー契約書に秘密保持についての条項が規定されているのである。
また、業務の特性上、金融機関と専門会社、専門会社と専門会社といった中で秘密保持契約が締結されている事が一般的である。
これは、仮に売りの受託をした金融機関が、専門会社に買い候補先探索を依頼する時に情報の授受が発生せざるを得ない事に起因するものだが、結果としてこれにより当該案件に関わる関係者は全員秘密保持義務を負うという事になる。
また買い手についてはより厳格な秘密保持義務が課せられる。買い手に対する提案ではまず最初にノンネームシートと呼ばれる、譲渡企業の抽象的な情報が記載されたペーパーを提示する。それに関心を示した買い手にのみ秘密保持契約書を締結し、より詳細な情報を開示するという流れとなる。これにより買い手候補先も秘密保持義務を負う事となる。
M&Aの業務遂行にあたっては秘密保持義務及び情報管理徹底は最重要項目であり、口の軽い人間は間違ってもこの業務に従事する事はできないと私は考える。中堅中小企業の経営者が命がけで築き上げてきた会社の命を預かるという覚悟が、M&Aアドバイザーには求められると言える。
秘密保持契約をいつ締結するのかという質問の回答以外にも、大変参考になる情報をありがとうございます。とても勉強になりました。