会社を買うというのは、少し過激な言い方をすれば、大きなリスクを引き受ける事であると言える。
一方、出所や、譲渡理由がしっかりしていて、情報が整理された多くの事案においては、実は過度な心配は不要であるというのが私の経験に基づいた結論である。
が、今回の様なケースが存在するのも事実である。買い手の経営者は、従業員思いの経営者で、譲渡後譲り受けた会社の従業員の中で、前経営者に対して鬱積した不満を一手に引き受け、車両の買い替えや、事務所の移転など、従業員の不満解消に対して全力の優しさで持って対応したわけだが、それが裏目に出て従業員が権利だけを主張し出すという泥沼状態に陥ってしまったという事である。
買い手経営者が労働条件を改善するというのは、一見美しい話である様に見えるのだが、場合によっては、大きく条件を変えず従来のやり方を踏襲する方が良いケースもあるという事かもしれない。
前経営者が、自身の経営スタイルで、従業員を強引に押さえ込んでいるケースなどはこういった事にならないか注意が必要だ。もっとも、しっかりと売り手社長に引き継ぎをしてもらうなど、我々が助言する最低レベルの進め方をしていただけば、まずこの様な事にはならないという事はお伝えしておこう。
「第184話 いい事ばかりでは無い企業買収」をYouTubeで視聴される方はこちらからどうぞ。
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