第164話 買収後の未回収債権の発覚

M&Aの実行前後においては、特に買収監査において徹底した財務状況の調査、すなわち買収監査が買い手の責任で持って実施される。一方、これを実施したからといって、売り手企業の財務状況が100%把握できるものではなく、監査後も最終契約あるいは資金決済までに簿外負債が発覚したり、場合によっては簿外資産が発覚する事はよくある事である。

今回の事案は譲渡後に、未回収債権という簿外資産が発覚したという事案である。一般的な最終契約書の条項を基準に考えるのであれば、例えば、簿外負債が発覚した場合は売り手が買い手に対して損害賠償責任が生じるケースが一般的であろう。一方、簿外資産が発覚した場合に買い手が売り手に対してその分の返還を請求できるという条項が盛り込まれている事案は記憶にある限り見た事が無い。すなわち、売り手側は資金決済までに特に簿外資産に該当する部分についてはしっかりと把握しておかないと損をするという事なので覚えておいて欲しい。本件以外にも、過去、資金決済前に簿外資産として保険が発見されたケースは経験している。

さて、今回の事案だが、売り手からすると買収時の認識と比較すると簿外に資産があったという事だから、未回収債権の回収に成功すれば、これは結果的に丸儲けという事となる。一方本件は、なぜ未回収になっていたかと言うと、単純に請求を担当する事務員の怠慢によるものであった。本人はそういった事務業務から逃れたい思いが強く、その無言のメッセージとして、この様に1500万といった大きな金額の請求を自分のところで未請求とすると言うとんでもない事務処理を行っていたのだ。

実際のところ、この事案に限らず、中堅中小企業は内部に闇を抱えるケースも多い。その意味では外部の客観的な目線で社内を再チェックすると言う取り組みは、意義ある取り組みであるといえよう。

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第164話 買収後の未回収債権の発覚①
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