第157話 中小企業庁の思惑とM&Aアドバイザリーの現場のリアル

中小企業庁は、事業承継問題の解決に本気になっている。2019年12月20日に発表された第三者承継支援総合パッケージでは、日本全国に後継者不在の企業が127万社存在するとし、今後10年間で、そのうち黒字廃業の可能性のある60万社の第三者承継を促すと明記している。その為の施策として事業引継支援センターのマッチング支援体制を大幅に強化するとしている。

また、経済産業省は中小企業におけるM&Aの更なる促進のため、平成27年3月に策定した「事業引継ぎガイドライン」を全面改訂した「中小M&Aガイドライン」を2020年3月31日に策定。とにかく、国を挙げてこの事業承継問題を第三者承継で救っていこうという強い意思表示であると私は理解しているし、これは国益に繋がる取り組みであり非常に良い方向に向かっていると考えている。

一方、実際にどの程度事業引継支援センターが機能しているかと言われると、私は微妙なのではないかと考えている。2020年に2,000件のマッチングを目指すとKPIを設定しているが、実際に成約している案件数はどの程度なのだろうか。これを知りたいと思う。業界最大手の日本M&Aセンターですら年間1,000件ほどの成約件数であり、例えば実績数値で、2018年度の事業引継支援センターのマッチング件数は923件となっている。そのうち実際のどのぐらい成約しているのだろうか。

M&Aの成約件数を伸ばしていくためには、アドバイザーの存在は必要不可欠である。アメリカでもネットマッチングが存在するがその場合も必ずアドバイザーは立てるのが通常である。事業引継支援センターの職員はアドバイザーではなくコーディネーターである。彼らがガンガン案件数を伸ばしていくインセンティブは私には認識不可能である。経済的なインセンティブがあるから民間アドバイザーは売受託に必死に動き、それが案件成約に繋がり事業承継問題の解決に繋がると私は考えている。

国益を追求する中小企業庁の取り組みは応援したいし、タイアップできるならしたいが、事業承継問題と言う大きな山を動かすには、私は、民の力を最大限引き出すことが重要と考えており、その為にこのM&Aスタジオを立ち上げ活動している。このテーマについてはもっと皆さんとディスカッションし、理解を深めたいと思う。

第157話を今すぐ漫画で読む

第157話 中小企業庁の思惑とM&Aアドバイザリーの現場のリアル①
第157話 中小企業庁の思惑とM&Aアドバイザリーの現場のリアル②
第157話 中小企業庁の思惑とM&Aアドバイザリーの現場のリアル③
第157話 中小企業庁の思惑とM&Aアドバイザリーの現場のリアル④
第157話 中小企業庁の思惑とM&Aアドバイザリーの現場のリアル⑤
第157話 中小企業庁の思惑とM&Aアドバイザリーの現場のリアル⑥
第157話 中小企業庁の思惑とM&Aアドバイザリーの現場のリアル⑦
第157話 中小企業庁の思惑とM&Aアドバイザリーの現場のリアル⑧

第157話を今すぐ動画で視聴する

「第157話 中小企業庁の思惑とM&Aアドバイザリーの現場のリアル」をYouTubeで視聴される方はこちらからどうぞ。

第157話をYouTubeで視聴する

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。