第104話 アーンアウト条項活用時の税務上の論点

アーンアウト条項の活用については、過去回「第79話 アーンアウト条項の活用〜心の隙間お埋めします〜」でご紹介したが、“M&A取引の実行(クロージング)後一定の期間において、買収対象とされた事業が特定の目標を達成した場合、買手企業が売手企業に対して予め合意した算定方法に基づいて買収対価の一部を支払うこととする規定である”。(引用:山田コンサルティンググループHPより)

簡単に説明をするならば、買収価格は○億円だが、そのうち○億円は合意して定めた一定の条件をクリアしたら支払います、こういった契約のことを指す。アーンアウト条項は、売り手と買い手の情報の非対称性を埋め、ディールを円滑に進める上で調整弁として有効に機能し得るものであると筆者は理解している。すなわち、売り手オーナーからすれば漫画の様に、株価に織込めない将来の利益部分についてインセンティブという形で契約に織り込む事で納得感を醸成する事ができるし、買い手からしても将来の不確実性による不安から株価に織りこめない部分を、ある意味成功報酬型という支払い形態で支払う事で、将来の不確実性のリスクを軽減する事ができる。また、通常売り手オーナーは譲渡が完了したら経営に対する意欲が低減するのが一般的だが、その意欲を維持し経営を安定あるいは向上させる効果も期待できよう。

今回は、前回とは異なり直近の税務通信の見解を元にアーンアウト条項の税務的論点について詳しく解説を加えている。
すなわち、税務通信#3591によると、大部分のアーンアウト条項は雑所得に該当するケースが多いとのことである。アーンアウト対価は、株式譲渡契約に基づいて支払われることが前提であり、株式の譲渡と密接な関連がある等の理由から、一時所得には該当せず雑所得に該当するケースが多いと説明されている。一時所得で無いにせよ株式の譲渡対価にならないのか?という点に関する見解としては、株式の譲渡時点で、権利確定(=停止条件がない)していれば、譲渡所得に該当する説明されており、停止条件が形式的なものにすぎず、実質的には停止条件がないものとして取り扱われた過去事例があると記載されている。

実務でアーンアウト条項を活用する時というのは大半の事案が、今回の漫画の様に、不確定要素を、その事実発生に基づき契約効力を発生させる事で売り手買い手の情報の非対称性から生じる折り合えない溝を埋めるという事で活用されるであろう事実を踏まえると、アーンアウト条項による譲渡後の所得の大半は雑所得であると理解しておいて、今のことろ間違いは無いのでは無いだろうか。

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第104話 アーンアウト条項活用時の税務上の論点①
第104話 アーンアウト条項活用時の税務上の論点②
第104話 アーンアウト条項活用時の税務上の論点③
第104話 アーンアウト条項活用時の税務上の論点④
第104話 アーンアウト条項活用時の税務上の論点⑤
第104話 アーンアウト条項活用時の税務上の論点⑥
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