期待値をコントロールせよ。私が若かりし頃、先輩アドバイザーからしつこいように指導された内容である。
期待値のコントロールとは何か。こんな事はいかなるM&Aの教科書的書物を読み漁っても記載される事は無い内容である。しかし、これはM&Aにおける仲介、あるいはFA業務においても非常に重要なナレッジである。
平たく言えば、売り手経営者とは期待株価を低く合意しておき、買い手経営者とは高く合意する事で、本来着地させたい株価とのバッファを双方に作り出す事で調整弁を設けてディールをコントールする事、これを期待値のコントロールと私は理解している。
簡単な話であるが、5億と思っていたものが、6億で売れれば当然売り手の満足度は高まるし、逆に7億とおもっていたものが6億で取得できれば買い手の満足度は高まる。
仲介という立場は、売り手買い手の中間にいる為、大きな情報に非対称性の中でビジネスを実行する。
この仲介者の調整行為の善悪を述べるつもりは一切ない。こういった調整があるからこそ良縁が結実するという側面も大いにあるのである。
一方、それが売り手経営者、買い手経営者の質の高い意思決定にコミットできているかと言われれば、疑問符がつくというのもまた事実である。
「第40話 仲介者の期待値のコントロール〜圧倒的土下座」をYouTubeで視聴される方はこちらからどうぞ。
コメント