一概にはいえないのだが、オーナー経営者の本能として、特に60歳オーバーの経営者を見てると特にそう思うのだが、M&Aで事業承継をするというよりは、同族承継をしたいという部分が少なからずあるのではなかろうか。
29話についてもまさにそういった話であり、元々このオーナーは、将来的な業界における競争激化、そして子が娘という事から、業種柄も子への承継は困難と考え、M&Aの検討を開始。そして、実際に相手も見つかりトップ面談も実施。買い手はノリノリといった様子で、この案件は決まったかと思った矢先の出来事であった。
娘婿が社長をやりたいと言い出したというのだ。私は、本当にその相手で、この企業の存続が可能なのだろうかと思い、数時間にわたり質問事項を投げかけたのだが、どうもそのオーナー経営者の意思は固い事が確認された。相手がそう願うならそれ以上 M&Aという手法を押す必要もなかろう。その様に考え、スパッとその場を立ち去ったのである。
そして5年後、再びそのオーナー経営者から連絡があった。やはり譲渡をしたいというのだ。何があったのかと聞くとやはり娘婿ではダメだったと。不運な事に業界の風向きも厳しい局面にあった。財務諸表を見て私はビックリした。あんなに健全だった財務が債務超過ギリギリだったのである。
私は、経営者の目線に立ち、株式を譲渡する以前に、まず事業の立て直しをする方向で助言を実行した。
「第29話 同族承継の顛末」をYouTubeで視聴される方はこちらからどうぞ。
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