企業経営をしていると、訴訟問題に巻き込まれた経験がある、という経営者は少なくないのではないだろうか。
過去、ソーシングに携わる中で、第17話のように、係争問題を抱える企業からの相談を受ける事があった。この時、経営者は総額1億円の訴訟を起こされているから、譲渡はそれの決着がついてから当方へオファーしたいと切り出した。しかしながら、我々は、それでも売りマンデートの獲得に繋げた。
では、どのように経営者の首を縦に振らせたのか。
事実としてこの訴訟は同社の事業継続に与える影響は軽微であり、かつ、この訴訟については売っても売らなくても何れにせよこの経営者が負担をしなければならない点に変わりはなかった。
もし譲渡しなければ法人として敗訴確定時に特別損失が計上され、純資産が毀損する。
譲渡するのであれば、この不確定な簿外債務については、例えば最大損失額を、売り手側株主の定期預金等に結びつけて質権設定するなどし、支払金額確定後に開放するという形を取れば、別段影響はない。
すなわち、これは会社の譲渡の決断に影響を与える事項ではないという事を説明した。何よりその経営者は早く引退をしたいというのが一番の想いであったし、訴訟問題を理由に譲渡検討の意思決定を先送りする必要など無かったのである。
結果として、当該企業は約1年弱で、好条件で譲渡が完了し、経営者もハッピーリタイアを実現し、セルサイドから見れば非常に付加価値の高いディールとなった。
「第17話 係争問題を抱えた企業の買収」をYouTubeで視聴される方はこちらからどうぞ。
コメント