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M&Aにおける投資回収の考え方について
- 2023/03/23

どうも、野﨑です。
経営者の皆様は、投資の意思決定をする際、必ず、“投資回収期間”についてお考えかと思います。
“投資回収期間”とは、その名の通り、投資したコストが何年で回収できるかを示す指標であります。投資回収を考える場合、当該事業が生み出すCFと、残存価値という二点で考えるのが基本であると考えています。その考え方からすると、不動産なんかは、そもそもの不動産価値が、取得後上がっていくようなケースも多いにあり、CF如何に関わらず、購入時点で投資回収ができているという考え方も可能です。
一方、資金調達をして不動産を購入する場合は、その借入金の約定弁済が生じますので、投資回収という観点ではなく借入金の償還年数が何年か、といった論点は生じると思います。
では、M&Aに関しては“投資回収期間”についてどの様に考えればいいのでしょうか。
それを考えるには、まずM&Aにおける、総投資金額に占める内訳を分解する必要があると思います。例えばM&Aにおける総投資額が500百万円と言われた場合、それを構造的に分解してみましょう。
まず一つ目が手数料。資産規模や取引規模により変動しますが、仮に手数料を30百万円としましょう。500百万円と手数料の差額470百万円株式譲渡対価ということになります。
では、この470百万円の内訳を見てみましょう。株価は、分かりやすい考え方で説明しますと時価純資産部分と営業権部分に分解できます。時価純資産とは、不動産で言うところの残存価値に近い概念です。営業権とはその残存価値部分を超える部分の事を指します。この場合、例えば時価純資産が300百万円だとしますと、170百万円が営業権部分に該当します。
私は、M&Aにおける投資回収期間を考えるにあたり、こういった形で考えを巡らせます。本件の場合で言えば営業権部分の170百万円と、手数料部分の30百万円、合計200百万円が投資回収すべき対象の金額であると考えます。当該企業が、仮に営業利益を50百万円コンスタントに計上しているとしますと、税後利益は約60%ですから30百万円。これで考えれば投資回収は6.6年となり、やや長いな、と言う判断をします。
この程度の簡単な試算もせずに買収を決定される経営者も少なく無いですが、簡単な考え方として、残存価値を差し引いた純然たる投資部分はいくらになるのか、投資回収の原資となる税後CFはいくら見込めるのか、このぐらいは最低限おさえた上で投資の意思決定をいただきたいと思います。